最大の奉仕をする人は、最大のチャンスを発見する|ナポレオンヒルの成功哲学

ナポレオン・ヒルの成功哲学の一つである、プラスアルファの魔法を実践することは、現在あなたが持ち合わせていない要素の形成にも役立ちます。

具体的には、プラスアルファの精神で取り組むことで、目標設定や信念の育成、パーソナリティや自主性の構築、積極的心構えや習慣の形成を行うことができます。

相手に奉仕の精神で接することと言われても、あまり心が動かなくても、これらの成功に必要な要素を形成することができる、と言われると反応する人も多いものです。

・自己中心的で人が離れていく
・その他大勢から抜け出したい
・先延ばしのクセを直したい

こうした悩みを抱えている人にとって、プラスアルファの魔法に取り組むことは、自分を変えるきっかけにすることができますので、今回の記事では

・最大の奉仕が最大のチャンスを生む
・かけがえのない人になること
・対照の法則による恩恵
・奉仕が生み出す個性と自主性
・自信を生み出す奉仕と心構え
・もう一人のあなたと向き合うこと
・奉仕による先延ばしと優柔不断の克服

これらについて、ナポレオン・ヒルの解説を元に、ナポレオン・ヒルの成功哲学に20年従事している専門家が、ひとつひとつ詳しく解説していきます。

この記事を書いた人

1982年生まれ。2004年(22歳)から現在に至るまで自己啓発の世界に身を置き、自己啓発のプロフェッショナルとして営業・講演・研修活動を行い、現在の月間セールス日本一の記録も保有しています。

すべて正規に版権を取得しており、自社取扱いプログラムともなっている

  • ナポレオン・ヒル(成功哲学の祖。「思考は現実化する」など成功法則を体系化)
  • ジョセフ・マーフィー(潜在意識の法則)
  • マクスウェル・マルツ(サイコ-サイバネティクス理論)
  • ジグ・ジグラー(自己イメージ改造理論)
  • ブライアン・トレーシー(営業の神様)
  • デール・カーネギー(道は開ける・人を動かす)
  • ジョー・ヴィターレ(引き寄せの法則ブームのきっかけとなった、ザ・シークレットの賢人エイブラハム)

これらすべてのプログラムを所有、実践し、プログラムユーザーへレクチャーしています。

現在のクライアントは法人のみですが、全国に在籍するインストラクターの育成と、プログラムユーザーのフォローサポートも担当しています。

~主な取扱い業務~

大手企業の新入社員研修
営業 / セールスなどの社内講演
オペレーションマニュアルの作成

ナポレオン・ヒル財団|アジア/太平洋本部
公認販社リアライズ オーナー

最大の奉仕をする人は、最大のチャンスを発見する

ある冬の日の朝、シュワッブの専用列車が系列の鉄鋼会社の駅に着いたとき、ホームで待つ一人の青年と出会いました。

鉄鋼会社の速記者である彼は「シュワッブ社長は、きっと何らかの手助けを必要としているのだ」と感じて、列車が来るのを待っていたのです。

シュワッブは、このいつにない歓迎に驚き、ウィリアムズと名乗るその青年に「誰に命じられてここへ来たのか?」と尋ねました。

青年は、自分の意思で出迎えたことを告げました。

そして、会社に打たれた電報から判断して、シュワッブ社長は何か誰かにやって欲しい事があるに違いないと考え、急いでここにやって来たことを知らせました。

シュワッブは、青年の配慮に対して感謝の言葉を述べ「もしかしたら本日中に何か頼むかもしれない」と言いました。そして実際に頼んだのです。

シュワッブの専用列車が、ニューヨークへ向けて走り出したとき、青年は列車に同乗していました。

奉仕と献身によって、青年は会社の中で昇進のチャンスを掴み、独力で事業を始めるだけの資本を得ました。彼は最後には、大手薬品会社の社長になったのです。

シュワッブが秘書に語ったところによれば、青年には記者としての長所は何一つ無かったようですが、自発的に行動する性質を備えていたと言います。

彼の昇進を可能にしたのは、その性質であり、習慣でした。シュワッブが注目したのも、後年、彼が社長になれたのもそのためです。

シュワッブは、習慣のおかげでカーネギーの工場の日雇い労働者から昇進して、USスチールの社長になったのです。

ここまでで学ぶこと

速記者の青年は、相手が明確に口にはしていない「もしかしたら」を読み取り、奉仕の精神で出迎えました。

こうした奉仕の精神で相手を思いやる行動というものは、相手の心を動かすには十分な力があります。

例えば、出勤の際には快晴だったのに、帰りの時間には土砂降りの時、最寄り駅に着いたら家族が傘を持って待っていてくれたら、あなたの心はどう動くでしょうか?

奉仕の精神で相手に尽くすことのポイントは、自発的に行うことに在ります。そして、この自主性というものも、ナポレオン・ヒルの17の成功哲学の一つです。

実際に、この速記者の青年は自分で事業を興し、社長になるに至っています。

奉仕の精神で尽くすことと、それを自発的に行う際には、気が向いた時ではなく、常にその精神を持って取り組まないといけないので、習慣化が必要になります。

これは、一見難しそうに思えるかもしれませんが、ほとんどの人はこれまでの人生で何度も実践したことがあるはずです。

それは、相手が家族であったり、友達であったり、恋人であったりと、その対象の違いはあれど、相手のことを思いやって行動に移した経験はあるはずです。

もし、そのような経験をお持ちでないのであれば、一度相手のためを思って行動することを実践してみてれば、この力の偉大さに気付くことができるでしょう。

もちろん、前回の記事でも解説したように、相手を見極めることは重要であり、泥棒に財布の場所を教えるのは、奉仕でも献身でもありませんから注意しましょう。

それでは続いて、かけがえのない人になることの重要性について、ナポレオン・ヒルの解説を見ていきましょう。

かけがえのない人になる

奉仕や献身という、プラスアルファの努力をする習慣は、あなたをかけがえのない人間にします。

あなたが、世間並み以上の報酬を要求できるのも、かけがえのない人間であるからです。

ここで言う「かけがえのない人間」とは、組織や企業を機能させる上で、絶対的に求められる人間のことです。

逆に言えば、あなたがある団体や個人にとって「かけがえのない人間」になるまでは、平均以上の報酬を求めることはできません。

ですから、あなたは自分自身をかけがえのない人間にしなければなりません。

世の中には、パーソナル・イニシアティヴ(自主性)や、自発的な要素が必要不可欠な職業もあります。

自分自身をその他大勢から引き上げ、自分の行動を自分で支配できる人間となった人は、自らの手で自分自身の値段表を作ることができるのです。

プラスアルファの努力は、あなたの精神的、肉体的な完成を助けるものであり、あなたの自己表現に必要な脳力と技を準備してくれます。

プラスアルファの努力によって、自発的な行動と自己規律が与えられます。努力と精神は、手を携えて進むのです。

「昨日よりも強くて大きい自分を」そう考えて行動するとき、あなたは確実に成長します。

何をするにしても、例えば話をしたり、手紙を書いたり、仕事をしたりするときにも、常に向上心がなければなりません。

もちろん失敗はありますが、常に昨日よりも今日、と意識して物事に当たることが大切です。

例え一度でうまく行かなくとも、毎日の積み重ねや繰り返しにより、昨日よりも素晴らしい今日がやってくるでしょう。

「充分に報酬を与えられていない」「これは私の仕事ではない」というのは、要するに怠惰であるからで、その態度を改めない限り、見返りを望むことはできません。

プラスアルファの努力をすることは、昇進のチャンスを手繰り寄せると共に、失業からあなたを守り、職業や労働条件を選べる立場へと押し上げてくれます。

職を確保することは、働くものにとっては第一の絶対条件です。

プラスアルファの努力をする習慣は、貧困や不安に対する予防策であり、競争相手に対する最大の利点となります。

ここまでで学ぶこと

かけがえのない人になるということは、その他大勢から抜け出すということです。しかし、抜け出す際には積極的な方向で、かつ周囲から認められることが必要です。

なぜなら、奉仕と献身の精神について、かけがえのない人になるのであれば、周囲の人から認められないような抜け出し方であれば、それは逆効果になるからです。

社会で高収入の職種や地位に就いている人たちも、全員がその分野や知識、応対についてかけがえのない人になれているからに他なりません。

つまり、奉仕や献身の精神で仕事に励み、周囲にとってかけがえのない人になれば、自然と給料や地位は上がるということになります。

実際に、社会でも年功序列という制度が当たり前の中で、仕事ができる人は、その他大勢を抜いて昇給や昇進していることが何よりもの証拠です。

プラスアルファの魔法の実践に取り組めない人の場合には、先に自主性を身に付けるようにすると、うまくいく場合があります。

ナポレオン・ヒルの成功哲学は、17のエッセンスという歯車が複雑に絡み合うことで、成功という時を刻むものですが、人によって取り組む順序は変わります。

なぜなら、17のエッセンスで現在持っているものと足りないものが、人によって異なるからです。

自主性を身につけることは、他のエッセンスにもプラスの効果を生み出すことができますので、重い腰が上がらない人は、自主性から取り組んでみて下さい。

それでは続いて、対照の法則というものについて、ナポレオン・ヒルの解説を見ていきましょう。

対照の法則による恩恵

プラスアルファの努力をすることは、あなたを引き立たせ「対照の法則」と呼ばれる、もう一つの利点をもたらします。

対照の法則とは、周りからあなたを際立たせることを意味します。自分をアピールする上で、この利点は大きな武器となるでしょう。

シカゴにある、国際的にも有名なデパート、マーシャル・フィールズでは、一時トップクラスのディスプレイ・デザイナーを雇っていました。

彼は、対照の法則に精通した偉大な芸術家でした。あるとき、彼は一つの窓全体に綺麗なネクタイを展示し、その中に全身が映る大きな鏡を置きました。

ネクタイに視界を奪われた通行人は、鏡の中で自分を見つけ、ショーウィンドの美しいネクタイと自分のネクタイを比べて思わず一本買ってしまう、という寸法です。

人間は、常に比較することで異質なものに気付く、という性質を潜在意識の内に持っています。

したがって、報酬以上の働きをする人は、それだけで大いに際立って見えるのです。懸命な経営者は、絶対にそういう人物を見逃しません。

実際、目先の利益だけを考えているような経営者だけが、そういう人物に報酬を与えることを控えようとするのです。

その結果、優秀な人材は転職し、自分にふさわしい職や仕事へと移って行ってしまいます。

需要と供給の法則は、自然とプラスアルファの努力をする人物を助けに来るのです。天は、そういう人物が不当な扱いを受けることを許さないのです。

いずれにしても、優秀な人材の数は常に限られていて、過剰供給されることはありません。

そこで、賢明な経営者は、決して慌てることなく、時間を掛けて人物の選択と判断をするのです。

大多数の人は、すぐに結果を得ようとしたり、与える前から手に入れようとしますが、それではチャンスを掴むことはできません。

対照の法則は、そういう人々の中に在って、敢えてあなた一人がプラスアルファの努力をするとき、その効果をいかんなく発揮します。

ですので、すぐに結果を求めることや、相手にばかり奉仕や献身を求めるのは間違っています。

今すぐにそういう生き方を改めて、より多くの努力やより多くの奉仕を人々に与えてください。そうすればあなたには、豊かな人間関係と報酬が与えられるでしょう。

ここまでで学ぶこと

もし、あなたが現在「私の才能は、周囲のその他大勢によって埋もれている」と考えているのであれば、その状況はチャンス以外の何物でもありません。

なぜなら、あなたに本当に才能があるのであれば、プラスアルファの魔法を実践するだけで、対照の法則が働くことでその他大勢から抜け出し、目立つからです。

そうすれば、必ず上司や経営者、あるいは他社の優秀な誰かがあなたを見つけ出します。実際に、転職会社の仕組みはそういうものですよね。

需要と供給というものは、人間だけではなく、自然界においても通ずる万物の法則であり、その天秤は必ず釣り合うように出来ています。

もし、その天秤が釣り合わない場合には、片方よりも重たくなっているもう一方が、競争によって釣り合うようになるまで淘汰されます。

つまり、この自然界の法則に則って考えるのであれば、あなたが率先して取り組むプラスアルファの精神というものも、必ず釣り合うように出来ているということです。

あなたが、これからの人生を天秤の奉仕と献身が重たくなるように励めば、それは必ず需要と供給によって、釣り合う重さのもので返ってくるということになります。

ですので、その他大勢から抜け出したいのであれば、まずは奉仕と献身に励むようにしてみましょう。

そうすれば、それは必ずあなたに対する需要という形で、いずれ返ってくるようになります。

それでは続いて、プラスアルファの取り組みによって磨かれる個性について、ナポレオン・ヒルの解説を見ていきましょう。

奉仕や献身が生み出す個性

奉仕や献身を進んで実行することは、積極的で明るい個性を育てます。それは、人々に好かれる大変素晴らしい個性です。

周囲に集まる人々も、きっと素晴らしい男性や女性でしょう。

あなたが、優れたパーソナリティを持っていれば、自分の望み通りに相手は行動してくれます。どうしてそうなるのでしょうか?

その第一歩は、自分がしてもらいたいと思うことを、相手にもしてあげることから始まります。

そして相手がすぐに反応しなくても、絶対に諦めてはいけません。忍耐強く奉仕を続ければ、いつか必ず期待通りの成果が現れるでしょう。

このことは、相手が経営者の場合には特に重要です。あなたが転職を考えるのは、為すべきことを全て取り組んだ後でも、決して遅くはありません。

「プラスアルファの努力を実践し、絶えず最善の努力を続け、人からこのようにして貰いたい、と思うことは、人にもまたそのようにせよ」

という黄金率を実践したにも関わらず、経営者から何一つ反応を得られなかった青年の話があります。

彼は、内心では転職を決意していましたが、不景気で雇用情勢が悪化したため、転職に踏み切れなかったのです。

そこで丸一年、彼は妻と共に生活を切り詰め、500万円以上の預金ができたところで、かねてからの計画を実行に移しました。

そして一年後、彼は自分で会社を設立し、以前勤めていた会社の競争相手になったのです。もちろんその事業は成功しました。

彼は今、始業前に社員と面談し、自分がいかにして事業を始めたかを社員に語っています。特に新入社員に対しては、次のように話します。

「もし、君達に何らかの才能や素質があれば、ここを辞めて独立したいと思う日が必ず来るだろう」

「その日のために、今日から貯金を始めて欲しい。それは君の独立資金であり、夢の原動力となるだろう」

経営者を心から尊敬するという点では、これ以上素晴らしい社員の集まりはどこにもありません。

彼らはみな、個人の独立資金を持っていて、常に独立できる状態にあります。

しかし、経営者は彼らのプライドを満足させるだけの報酬を与えることで、有能な社員を引き止めているのです。

ここまでで学ぶこと

奉仕や献身に励む人は、必ず積極的で明るい個性が身につくようになります。これは実際に奉仕と献身に取り組んでみれば、誰もが必ず納得できる事実です。

なぜなら、相手に喜んでもらうためには、まずは自分が笑顔で明るく相手に接する必要があり、その内容も積極的である必要があるからです。

例えば、接客業でお客さんに喜んでもらったり、来て良かったと思ってもらうためには、まずはあなたが無愛想だとしたら絶対に無理ですよね。

また、奉仕や献身に取り組むこと自体も、自主的に行うものであり、これらの見返りはお客さんからのお礼や応援といった形や、お店からの昇給という効果で現れます。

こうした報酬を受け取ることは、素直に喜ばしいものですので、あなた自身も心から満足感や充実感を得ることで、更に笑顔や明るい気持ちになれるでしょう。

この時にも、ナポレオン・ヒルが語るように、お店や会社からの昇給や昇進といった形で、経営者は既にあなたのことを評価して引き止めています。

そして、このような奉仕や献身の効果が明らかであるのに、長年評価されていないようであれば、この青年のように独立したり、転職の機会を選択すれば良いのです。

気をつけるべき点としては、先程のナポレオン・ヒルの解説でもあったように、今月やったのに来月になっても見返りがない、とすぐに求めないようにすることです。

奉仕や献身の精神で人生を活きることは、必ずあなたの個性を明るく積極的なものへと変えることができます。

自分の人間性を変えたい、磨きたいという場合には、まずは周囲に対して奉仕と献身の姿勢で挑むようにしてみましょう。

それでは続いて、奉仕の精神が生み出す自主性と、独立の際の三つの条件について、ナポレオン・ヒルの解説を見ていきましょう。

奉仕が生み出す自主性と独立時の三つの条件

積極的な奉仕や献身は、パーソナルイニシアティヴを開発します。パーソナルイニシアティヴとは、自発的に行動することです。

これはセルフスターターのノウハウです。物事は全てそこから始まります。大切なことは、物事が起こるのを待つのではなく、自ら進んで事を起こすことです。

絶えず最善の努力を積み重ね、充分な時間を掛けたにも関わらず、願望や目標を達成できない場合は、別のコースを選ぶことも考えなければなりません。

その最たる例としては「独立」があります。ただし、そのためには少なくとも三つの条件をクリアしなければなりません。

一つは、あなたが始めようとする職業についての充分な知識と技術です。もう一つは、言うまでもありませんが資金です。

この時、あなたが用意する資金は、銀行からの融資や親の遺産に頼ってはなりません。自分が時間を掛けて、コツコツと貯めてきた貯金がベストです。

時間を掛けている間に、あなたは計画を何度も修正するでしょう。しかし、貯金の総額が少ないので、始めから手を広げ過ぎることが無いのはメリットです。

それに、あなたはあなたのお金の値打ちを、お金を貯めてきた過程で、充分知っているはずです。

三つ目が、実は一番の難問なのです。あなたは、もう一人のあなたの承諾を取り付けなければなりません。

事業を一緒にやってゆく上で、一番難しいのは「もう一人のあなた」というパートナーと、どのようにして折り合いをつけていくのか、ということです。

もう一人のあなたは、あなたのやろうとしていることに、絶えず異議を申し立てて、あなたの計画を壊そうとするものです。夢の中にまで現れてクレームをつけます。

ですので、もう一人の自分と正面から向かい合って、自分の願望や目標を伝えて、協力を要請することです。

もう一人の自分との対話、という有益な経験をするためには、静かな部屋と一枚の鏡があれば、いつでも始められるのです。

ここまでで学ぶこと

奉仕の精神で物事に取り組めるようになれば、それは自然と自主性を生み出すことになります。

なぜなら、相手のためになることを考えて実践することは、それ自体が自主的に考えて行動することに繋がるからです。

ですので、自主性がなくて悩んでいる人の場合、奉仕の精神で物事に取り組む考え方を習慣化すると、これまでとは変わった生き方をすることができます。

それでも報われない場合には、ナポレオン・ヒルも説いているように、独立も視野に入れると良いのですが、三つ目の条件は本当に成功と失敗の明暗を分けます。

この「もう一人のあなた」というのが、自己啓発でも広く語られている、潜在意識と呼ばれているものです。

潜在意識を味方につけられるかどうかが、今後の人生の明暗を分けるというのは、本当に過言ではありません。

もう一人のあなたとの対談は、この後にも実例が挙がっていますので、そちらを参考にしてみて下さい。

それでは続いて、自信を育むための奉仕と心構えについて、ナポレオン・ヒルの解説を見ていきましょう。

自信を育むための奉仕と心構え

何が起ころうとも、あなた自身の道を行くべきです。あなた自身の道とは、プラスアルファの努力をすることです。

そして素晴らしい人間となって、豊かな実りを手にして下さい。

プラスアルファの努力で大切な点は、何よりもあなた自身の心構えであり、プラスアルファの努力をすることが習慣となり、ごく自然に実行できるようになることです。

願望や目標を正しく設定し、献身と奉仕を行うとき、それは必ずあなたのところへ返ってきます。

大成功を収めたある商人は、すべての従業員に向かってこう言いました。「小包を送るときは、 商品だけでなく自分の心も送りなさい」

自信と確かな自意識を与えてくれるのもプラスアルファの努力であり、奉仕です。自意識とは、反省心と向上心が伴った、あなたの主体的な意識のことです。

事業をあなた自身で起こそうとする場合の部分で述べたように、一緒に暮らしていく上で、一番難しいパートナーはあなた自身かもしれません。

そこで、この場合にも先程と同じように「もう一人のあなた」と正面から向かい合い、自分の願望や目標を伝え、協力を要請するのが良いでしょう。

それは必ず良い体験になります。もう一人の自分との対話は、深い反省をあなたにもたらすことでしょう。

ここまでで学ぶこと

奉仕と献身の精神で行動することは、積極的心構えを育み、同時に自信を身につけることもできるようになります。

なぜなら、奉仕や献身によって相手が喜ぶ表情や、相手からの謝礼を目の当たりにすることによって、自分の行動が評価されることに形として現れるからです。

もし、その奉仕や献身の精神で相手に接した時、相手がそれを当たり前だと思うようであれば、その時にはその相手から離れることを選択すれば良いでしょう。

ただし、あなたの奉仕や献身の質や量が、サービスや料金の範囲を超えない場合には、相手もそれを当たり前としか捉えることはありませんので注意しましょう。

プラスアルファの魔法とは、どこまでも「自ら一歩余分に進むこと」に価値があります。そうすれば、必ず相手は喜んでくれたり、感動するものです。

その現実を何度も、そして何人からも目の当たりにすれば、それはその度にあなたの自信を育むようになっていくのです。

例えば、誰よりも良質な接客を行う人は、お客さんやお店から褒められ、そして評価されることで自信に繋がり、より接客の質が磨かれていくものです。

この時に、どのような心境になっているかを考えれば、積極的心構えというものが実在し、そしてそれはとても大きな力と支えになっていることにも気付けるでしょう。

それでは続いて、もう一人の自分との対話のエピソードについて、ナポレオン・ヒルの解説を見ていきましょう。

もう一人のあなたとの対話

ここで、一つの実話を紹介しましょう。ある時、シカゴにある相談センターへ一人の男がやってきました。

どうみても、彼は人生の敗残者でした。彼の目はうつろで、敗北感が漂っていました。

肩は生活に打ちのめされて下がっていましたし、足どりは、まるで13階段を上がる死刑囚のようでした。

「ここで助けて貰えなかったら、ミシガン湖で人生を終えるつもりだ」と彼は言いました。しかし、それでも彼には人間としての値打ちがあったのです。

彼の中に、何らかの価値があるからこそ、相談センターへ来たのです。カウンセラーは、彼の話を聞きました。確かに、彼は困難な状況に置かれていました。

しかし、カウンセラーの経験によると、もっと困難な状況で戦っている人たちは、いくらでもいました。

問題は、いつも誰かに頼ろうとして、その度に裏切られた彼が、すっかりやる気をなくしていることにあるようでした。

カウンセラーは彼の話を聞き終えると、長い沈黙の後で席を立ちました。カウンセラーは来訪者に告げました。

「お話は分かりました。世界中でたった一人、あなたを助けることのできる人物をご紹介しましょう」

「ただし、その人は大変無口ですから、あなたから何でも相談してください」そう言うと、カウンセラーは来訪者を奥の部屋に案内しました。

男が案内された部屋は、椅子が一つ置いてあるだけの何もない部屋でした。部屋の奥には、カーテンが掛かっています。そこでカウンセラーは男に言いました。

「世界中でただ一人、あなたを助けることのできる人を紹介します。彼は絶対諦めない男です。計画を立て、粘り強く実行します」

「休息を求めるよりも、戦うことが好きな男です。彼はいつでも、自分の全脳力を出しきる男です。彼があなたの質問に何と答えるか、よく聞いて下さい」

カウンセラーはそう言って、カーテンを引きました。そこに現れたのは一枚の大きな鏡でした。

そして、そこには男の姿が大きく映っていたのです。彼は呆然として声も出ず、ただ自分の姿を見つめるだけでした。

「あなたの納得のいく解答を貰えるまで、何時間でも掛けて下さい。その男は必ず、あなたを助ける方法を知っています」

「相談が終わったら、もう一度、私の席に戻ってください。私も何か助言できるかもしれませんから」カウンセラーは、そう言って部屋を出て行きました。

長い時間が経った後、鏡の部屋のドアが開いて、男がしっかりとした足どりで出てきました。男はカウンセラーに握手を求めて言いました。

「私が間違っていました。もう一度やり直せ、と言われました。その通りにします」カウンセラーは、何も助言する必要がないことを知りました。

それから数ヶ月経った後に、この相談センターに、真新しい服を着た一人の立派な紳士がやってきました。

彼はカウンセラーを見つけると、歩みよって握手を求めて言いました。

「私が誰だかお分かりでしょうか?私はあなたによって、大きな鏡の中でもう一人の自分と出合った男です。 あなたにお礼が言いたくてやってきました」

「受けたご恩を返すために、できることはどんなことでもします。あなたのおかげで救われました。あなたが私と私の人生を救ったのです」

「私は、また以前の豊かな暮らしに戻ることができました。ぜひ、ご恩返しをさせて下さい」

人々に対して、奉仕と献身を身につけることは、あなた自身にとっても実りの多いことなのです。

大胆に、そして溢れるほどの好意を示して下さい。そうすれば、人々はあなたに感謝し、そしてあなたは報われます。

「汝自身に対して誠実であれ。いかなるときにも誠実であれ。されば汝は、不実のそしりを免れよう」~ウィリアム・シェイクスピア~

ここまでで学ぶこと

鏡を利用した、もう一人のあなたとの対話は、やってみれば分かりますが本当に価値がある時間に変わります。

私は、これを鏡面談と呼んでおり、ナポレオン・ヒルの成功哲学を知ってから20年間、今でも欠かさず毎月必ず、自分との月次会議の時間として取り組んでいます。

もちろん、必要な時には毎月一回と言わず、二回でも三回でも行います。成功哲学を学び始めた当初は、それこそ毎週行うことにしていました。

鏡面談のポイントとしては、必ず慣れるまでは全身が映る鏡を用いることと、その鏡の前に腰掛けて座れる椅子を用意することです。

最初から顔だけしか映らない鏡や、上半身のみ映る鏡、また洗面所などで立って行うなどはしないようにして下さい。

また、必ず腰掛けて座れる椅子に座って行うようにして下さい。ソファで行う、パイプ椅子に座ったり、地面に胡座をかいて座る、などはしないで下さい。

鏡面談に慣れてくれば、これらのシチュエーションや、外出先のお手洗いの鏡などでも行うことは可能になりますが、それまではこの状況を守ることをお勧めします。

なぜなら、この状況下で行うことで、真剣に取り組むことができるようになるからです。

例えば、上司と今後の仕事の取り組みについて真剣な相談をする時は、必ず相手と面と向かって、落ち着いて座れる環境下で行うようにするのと同じです。

あなたが、もう一人のあなたと行おうとしている鏡面談の内容は、あなたのこれからの人生についての相談を行うための会議のようなものです。

その内容が、どれだけ真剣で深刻なものかを考慮すれば、自然と最初はこうした形を取ることでしょう。

最初の内は、鏡面談を行う際の格好も、スーツなどの正装をするようにするのも、とてもお勧めです。

自分の内面に積極的心構えを生み出すためには、自分との対話は非常に価値のある時間となります。

なぜなら、これまでの習慣によって築いてきた、これまでの人生のすべてを知るもう一人のあなたは、すべてを知るが故に完璧な反対や否定を行うからです。

この時に、反対の根拠が事実であったとしても、過去は過去として認めて赦し、これから先の未来の習慣を変えて生きていく決断を、もう一人のあなたと交わします。

多くの人が、すべてを知る潜在意識とは向き合いたくなかったり、完全に論破されるのが分かりきっているので、対話自体を拒否したくなりがちです。

また、自分が目標や願望について感情的になったり、宣言することについても臆病になってしまう人もとても多いものです。

しかし、鏡面談を行うことは、これらの全てを置き去りにして、鏡の中にいるもう一人のあなたと、本心から情熱的に、そして感情的に話を行うことになります。

実際にやってみてもらえば分かりますが、ある人は鏡にいる自分に説教をしたりしますし、怒ったり、諭したり、褒めたり、分かち合ったりします。

客観的に見ても、これらの状態は既に潜在意識との融合が完了しており、今後の共存と繁栄のために、手を取って協力していることは明らかですよね。

世の中のほとんどの人が、自分の潜在意識を制御できず、また自分の望むべき方向へベクトルを向けることができていません。

しかし、効果的な鏡面談を行うことで、今まで敵だった潜在意識が味方へと変わるようになるのです。

これは、人生においてとても重要な場面で、それこそかけがえのない強力なパートナーを作ることにも繋がるのです。

それでは続いて、プラスアルファの魔法の実践と先延ばしの関係について、ナポレオン・ヒルの解説を見ていきましょう。

奉仕の精神による先延ばしの克服

優柔不断や、物事を引き延ばす癖を克服するには、プラスアルファの努力をすることが有効です。

物事をぐずぐずと引き延ばし、いつまでも放置しておくことは、成功と縁のない生き方です。

奉仕や献身に熱中し、仕事や相手を愛すれば愛するほど、あなたは積極果敢で行動的な人間になっていくでしょう。

そしてセッション1で学んだ「願望や目標を明確化する」という点でも、プラスアルファの努力をすることは、その成功に不可欠な要素を発展させます。

願望や目標もなく、生活を維持するためだけに働いているうちは、人生の豊かさを手にすることはできません。

はっきりとした願望や目標を持ち、その目標に向かって、自己の生活と行動と考え方を準備し、組織すれば、あなたは自分で報酬を決めることができるのです。

生活と職を確保するために、最低限の仕事をするのは当然のことですが、より高い地位と収入を得るためには、より以上の努力と奉仕が必要です。

原因と結果を取り違えてはいけません。地位と収入は、あくまでも結果なのです。

「給与」と「生活に必要な金額」を混合することは、世間全体に行き渡ってしまった誤解の一つです。

給与が安い、と不平を言う人の中には、浪費や経済観念の欠如によって、自ら問題を起こしている人も少なくありません。

社会人である以上は、経済学の基本程度は、一般常識として身につけておく必要があります。

いずれにせよ、受け取る以上のものを与えない限り、報酬が増えることはない、というのが経済の鉄則です。

より以上に働き、より以上に与え、そして受け取るということは、どこまでも自分自身の問題であり、決して他人に強要されるものではありません。

豊かで自由な社会を作り上げているのはこの思想であり、この原則です。私達はこの権利を、いつまでも大切に守っていかなくてはなりません。

成功のノウハウには、ひとつの公式があります。それは「Q+Q+MA=C」で表すことができます。この公式は

与えるサービスの質 Quality
与えるサービスの量 Quantity
私たちの心構え Mental Attitude
これらの合計があなたの報酬 Compensation

ということです。ここでいう報酬とは、金銭、またはそれに換算できるものだけを指しているのではありません。

それは、あなたの人生を豊かにする、あらゆるもののことです。

喜び、幸福、調和、精神の啓発、心の平安、積極的な態度、信念、勇気、そしてすべての悲しみさえも、仲間や友人と共有できる脳力のことです。

ここまでで学ぶこと

奉仕の精神で物事に取り組むことは、即決即断の心構え、一歩踏み出す勇気、チャンスに機敏になるアンテナ、そして豊かな想像力をあなたに与えることになります。

なぜなら、相手が一番喜ぶであろうことを考えることは、相手に敏感になることにも繋がり、その時が来たら即座に実践しないと、効果を発揮することがないからです。

奉仕の精神で挑むためには、自分のタイミングや状況を中心にして考えることはできず、それは常に相手の状況やタイミングに合わせることになります。

接客に置き換えて考えてみれば「今日は出来ないから、次回来店してくれた時に奉仕しよう」等といった考えは通用しませんよね。

なぜなら、次があるかどうかなど分かりませんし、何より次の可能性を上げるための行動が、今奉仕を行うことができるかどうかに懸かっているからです。

こうして物事に積極的に取り組むことができるように変われると、これまで取り組めなかったり考えられなかった目標設定や計画の立案にも向き合えるようになります。

これまで目標設定や達成計画と向き合えなかった人も、一度奉仕の精神で相手に尽くすことに取り組んでみれば、この恩恵を受け取ることができるようになるでしょう。

それでは最後に、プラスアルファの精神と成功の関連性について、ナポレオン・ヒルの解説を見ていきましょう。

プラスアルファの精神が成功を生み出す

私たちは、プラスアルファの努力をすることを学びました。

自ら進んで人々に奉仕をし、より多く働き、より多くを与えることは、あなたを成功に導くその他の16のノウハウと、一本の糸で繋がっています。

それは、大粒の真珠が17個並んだ「成功」と名付けられたネックレスです。

プラスアルファの努力をすることが、あなたの人生にとって、どれだけ多くの意味を持っているかを理解できるまで、繰り返してこのセッションを学んで下さい。

より多く働き、より多く与えることは、願望や目標を明確にすることで、その実現を早め、信念を貫くことの励みになります。

そして、それはさらに、積極的な心構えと優れたパースナリティを養うのです。

プラスアルファの努力をすることが、どれほど多くの意味を持っているか、その点を理解して下さい。

そして、このノウハウによってもたらされる数多くの利益を、あなたも最大限に活用して下さい。

そして、この特権の素晴らしい一覧表を見れば「一マイル余分に進むこと」を控える人はいないはずです。

少なくとも人生の成功に関心を持ち、誠実で、パッションや希望を持つ人なら、この素晴らしい生き方に同意するはずです。

ここまでで学ぶこと

プラスアルファの魔法に取り組むことは、誰もが頭の中で考えている「少しでも早く成功したい」「より近道で成功したい」を実現させる最適な手段です。

一見、一番遠回りに見えるプラスアルファの考え方と習慣、そして行動は、実は成功へと直結している唯一の道なのです。

これまでにも述べたように、プラスアルファの魔法に取り組めば、ナポレオン・ヒルの成功哲学における他の要素の多くを生み出し、そして育むことができます。

そして、プラスアルファの精神で取り組むことは、次のセッションともなるパーソナリティの形成にも、一役買うことに繋がります。

何より、このプラスアルファの精神で生きることは、尖った考え方ではなく、大自然の法則に則った考え方である、という点が成功を保証しているようなものです。

受動的ではなく、能動的に相手が望むことを進んで与えたり、一歩余分に努力することと、その際にはもう一人のあなたを味方につけること。

こうして考えてみると、潜在意識や積極的心構えというものが、なぜ成功にとって必須な要素であり、真っ先に身に付けないといけないかが理解できますよね。

人生を変えたい、自分を変えたいという人は、まずは自分にできることからで構いませんので、相手が喜ぶことを考え、自ら一歩余分に進んでみましょう。